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ターボ分子ポンプの教訓
2021.03.12
  • 【ターボ分子ポンプ選定における教訓・備忘録(2021年2~3月)】
    (注:下記の内容は,個人の見解です)

    大阪真空のターボ分子ポンプ(TMP)は高真空・超高真空の実験での使用に耐えない排気性能の機種が多いように感じられる(例:TG50やTG220などは圧縮比が低い事はおろか,到達圧力も悪く,そこに至る時間も膨大にかかりすぎる.背圧を高真空レベルに排気してベーキングを行いながらTG50を使用したが,その圧縮比から予想されるような10^-7Paオーダーの超高真空領域には到達できなかった・・・).

    教訓

    大阪真空製のようにH2の圧縮比が10^2程度しかない悪い性能のTMPは特に要注意.このように圧縮比が低いポンプは,圧縮比の値を真に受けて超高真空領域への到達を期待しない方がいい.実験現場での高い排気性能を担保するには,『H2の圧縮比』に着目し,それが『10^4以上』のポンプを選定するようにした方が無難そう.それ以下のH2圧縮比で基本性能が悪いものは,たとえタンデム型で背圧を低くしていても使いものにならないことがある,ということを今さらながら学ばされました(--;)

    Pfeiffer社製のHiPaceシリーズは素早く高真空・超高真空に到達できる排気性能で高い信頼性がありそう.

    http://www.hakuto-vacuum.jp/pfeiffer_vacuum/01.php

    実際に,購入して使用すると,TG50とは比べ物にならない快適な排気性能を確認できた.このポンプはハイブリッドベアリング軸受型であるためメンテナンスは4年に1度くらいの頻度が推奨されるものの,業界屈指の性能とリーズナブルな価格は魅力的(常に超高真空状態を排気し続けてポンプの負担が小さければ,推奨運転期間(4年)の倍程度は長持ちすると思われる).また高い許容背圧上限(1000Pa程度)も魅力的.

    磁気浮上型はベアリング軸受型の倍程度の価格となるが完全にメンテナンスフリーなため,取り外しにくい位置に取り付ける必要がある場合は,Pfeiffer社のHiPace300MやEdwards社の磁気浮上型STPシリーズの導入が良さそう.

    http://www.hakuto-vacuum.jp/pfeiffer_vacuum/01.php
    https://shop.edwardsvacuum.com/products/r1251/list.aspx