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国立大学法人・総合研究大学院大学では、分子科学研究所で大学院生活を送る学生に対する経済支援制度(RA/SRA制度)が充実しています。
国内では稀有な『修士課程』からの経済支援制度
修士課程から雇用率100%のRA制度!
RA金額(年額)
修士課程(1~2年次):85万円程度
博士課程(3~5年次):100万円程度研究所への進学を考える際には、下記に記すような観点で、勇気や行動力、未知への好奇心等の様々な要素が通常以上に必要になってくると思いますので,学部生の人たちにとって進学のハードルは一般的に極めて高いと思います。そうしたハードルを越えてきた人達が、国立研究所の大学院生としてより高いレベルで研鑽を積み充実した活動ができるように、このRA制度があります。
以下、やや長文となりますが、どのようなハードルがあるのか私なりに感じている事を記しますね。
まず,国立研究所で大学院生活を送ることは、皆さんが現在在籍中の大学でエレベーター式にそのまま大学院に進学するケースとは全く異なる状況だと感じます。引っ越し等により生活場所が大きく変わりますし、当然ながら今まで馴染んでいた大学とは全く異なる環境に飛び込む事になりますので、未知の環境への好奇心や行動に移す勇気,自己変革の気風を有していること等がそれなりに必要になってきます。
また、その前の段階の事として、研究者になる前の人たち、すなわち研究活動を4年生から行うことになる学部生の人達には,国立研究所の研究室の存在を知る機会自体がほとんど無いという状況ではないかと思われます。ある程度の意識を持ってアンテナを張り、能動的に情報収集をしなければ、学部生の人が研究所の存在を認知するに至ることはほとんどあり得ないのではないかと感じます。実際に、これまで分子研で接してきた学生さんをみていると、学部生の人が分子研の存在を知ることができたのは、所属する大学の教員の方々から分子研の紹介を受ける機会があった場合がほとんどのようです。
(そのため、広く分子研の存在や研究教育機関としての魅力を知ってもらえるように、web等を通じた情報発信を行うことは今後ますます大切になってくると私は思っています)
周囲の人からの紹介などによりいろいろ縁があって研究所の名前を知ることができたとしても、次のステップとして、一定の勇気と行動力が無ければ実際に研究所を訪問してみるところまではいけないように思います。ですので,多くの学生の人にとって、研究所で行われている研究内容を現地でより良く知ったり、そこへの進学の意義等をより深く考えてみる機会はほぼ皆無なのが実情なのではないかと感じています。
一方で、ある種の行動力・バイタリティがある学生の人は、なんとか勇気を持って心理的なハードルを越えて研究所の教員にコンタクトをとるまでに至ることができます。実際に研究所に来て研究現場の様子を体感した学生さんは、それまで何となく思っていたような怖い?イメージやハードルの高さは実はそれほど無いということを感じているようです。そのように国立研究所を身近に感じ、そこでの研究活動の魅力を知ることで、より広い観点や視野で研究者としてのキャリアアップや目指す将来像などについてより具体的に考えられるようになってくるのだろうと思います。(私自身、分子研を初めて訪問した際に、非常にワクワク胸が躍った記憶があります)
上記のような状況を踏まえると、分子研に進学する事を最終的に決断するに至った学生さんは、ご自身の将来・方向性を相当程度見つめ直した後なのでしょうし、志や気概が一定程度伴った状態にあると思います。少なくとも当研究室に進学している・進学希望している学生の人はそのように感じます。エレベーター式で周囲に流されてそのまま大学院進学する、というようなケースはほぼあり得ない状況なのだろうと思います。つまり、「研究所での大学院生活の魅力を知り,体感し,熟考し将来を見極めて進学を決断するに至る」という一連のプロセス自体が、その学生さんが研究者として将来大きく成長・飛躍するために必要となる『向上心・挑戦心・勇気・行動力・自己変革力』などの資質を一定水準で備えている、ということを表しているのではないかと私は感じています。
こうした背景もあり、分子研では願書提出時に学生さんに2000文字の『志望理由』の小論文の提出をお願いしています。これにより、筆記試験だけでは見極められない学生さんの研究者資質や将来性、ロジック構成能力などを総合的に問う、という入試選抜スタンスをとっています。(一方、筆記試験の問題は逆に平易に設定されています。私は、最低限の水準をクリアできない人、つまり口先だけやる気がある風の人、の入学をスクリーニングする試験であると筆記試験を位置づけています。ですので、当研究室を志望している学生の人は、筆記試験を基本的に満点で通過する心づもりで臨んでください。)。
[*ちなみに上記の内容は、様々な理由で分子研が視野に入らなかった、あるいは選択しなかったという人に対して研究者資質がない、と言っているわけでは全くありませんので、その点は皆さまに誤解が無いようにここで強調しておきたいと思いますね。私自身も、実は学部生の時は分子研の存在を知らず、大学院生になって関連学会等に参加してから分子研のことをしりました(笑)]
分子研のリサーチアシスタント(RA)制度は、上記の様に、結果として様々な縁があって分子研の存在を知り、一連のプロセスを通じて勇気と種々の想いを胸に抱いて研究所に飛び込んできた学生の人が、より高いレベルで研究・勉学に打ち込み大学院生としてのびのびと研鑽を積むことができる環境を整備するためのものです。分子研での大学院進学を考えている皆さんには、ご自身の更なる成長・飛躍のために、そして興味があり志す研究分野の今後のさらなる追求と発展のためにこのRA制度を有効活用してもらいたいと考えています。
そうした観点(制度設計した関係各位の方々の研究者育成に対する思い)から、修士課程・博士課程の両方について、RA雇用率は100%となっているのです。
選抜後に受けられるSRA制度
SRA(年額)
修士課程(1~2年次):170万円程度
博士課程(3~5年次):230万円程度さらに分子研では、特に意欲があり優秀と認められる学生の人をSRAとして採用する制度があります。こちらも全年次の大学院生に応募資格があります。
修士課程学生向けSRAでは、入学試験の評価結果により採否判定され、最長2年次までの採用が可能です。博士後期課程学生向けのSRAでは、それまでの研究活動や今後の研究展望に関する英語プレゼンテーションと質疑応答の結果により採否判定されます。[補足: 実は、この面接はかなりガチです。かつてSRA審査員を務めた私の印象ですが、これを勝ち取るには、高いレベルで研究力・総合力が必要になると思います。修士二年の学生さんの場合、夏の段階で次年度の博士課程からのSRAのためにこの面接を受けることになるのですが、それをクリアするためには高いレベルで日々研鑽を積んでおく必要があります(例えば、私の前任の大学(京都大学)・専攻の修士課程の学位審査発表会よりもずっとハードな印象を受けています)。分子研の教員の方々は当然各分野の選りすぐりのエリート研究者ですし、しかも複数の審査員の専門領域・分野が物理・化学・生命科学等とかなり多岐に亘るので、そのような幅広い分野の専門家の興味を引き付けて高評価を得られるようなハイインパクトな研究内容とハイレベルのサイエンスコミュニケーション能力が必要となります。しかもそれを英語で、15分程度の時間内で的確に行う必要があります。プレゼンの後、各分野の審査員の先生方の『多様な観点』からの基礎的・発展的ないくつもの質問に対して、的確に応対できる技量・見識も求められます。]
分子研での大学院進学を考えている皆さんには、こうした制度の活用を是非視野に入れて高いレベルで研鑽を積み、将来の大きな成長と飛躍に是非つなげていってもらいたいと考えています!
その他にもティーチングアシスタント(TA)や奨学金、学会旅費、海外留学の際の旅費や生活費等、についても経済的な支援を受けることができます。
経済支援内容の詳細に興味がある方は杉本までお問い合わせ下さい。
▼RA制度を含む分子研の大学院生経済支援制度の詳細はこちら
https://www.ims.ac.jp/education/support.html追伸:
そして私自身、上記のような様々な経緯や縁があって種々のハードルを越えて入学に至った学生の方々との時間を大切に、正面から向き合った研究教育活動を日々心掛けています。分子研を身近に感じる機会として、体験入学・インターンシップ制度も是非ご利用頂ければと思います。
▼当グループでの大学院教育に関する方針・考え方について
https://sugimoto.ims.ac.jp/recruit/▼体験入学・インターンシップ受講者の声
https://sites.google.com/view/sugimotogroup-internship/testimonials?authuser=0
▼大学院入試合格者(2022年度進学予定者)の声
https://sugimoto.ims.ac.jp/blog/2021/11/voice-of-new-members.html